第48章 神影
「江田組の事かい?…あそこは近寄らない方がいい。」
「どうして?」
「あそこの組長さんはタチが悪くてね、この前も誰かが出入りしていたよ。」
「それは豪龍会の人ですか?」
「いいや………銀楼会(ぎんろうかい)の人間だよ。」
お爺さんが俯いた。
「え?何故他県の極道が…。」
驚いたように男はお爺さんを見た。
「理由はしらないが、豪龍会を大きくしようと考えているんじゃないだろうか。」
「そうですか?」
「でも、なんでそんなことをしりたいのかね?もしかして、極道にでもなろうとおもっとるのか?」
「いや…それは――。」
男は言葉をつまらせた。
「わるいことは言わん。やめときなさい。」
お爺さんは立ち上がると沿う呟いて歩いていった。
なにか、勘違いをされてしまった。
だけど、自分の仕事の事をベラベラと喋るわけにはいかなかった。
もし、ターゲットの耳にでも入ろうなら、男は地獄を見るはめになるのだ。
仕事柄それは不味い。
しかし、いい情報は手に入った。
誰にもばれないように、手帳に"銀楼会"と書き込んだ。