第48章 神影
カツカツカツカツ―――
「……オィ。」
カツカツカツカツ―――
「……なぁ。」
カツカツカツカツ―――
「……なんで、機嫌わりぃんだよ。」
昼。
今日は三人で出掛けることにした。
が、あたしは彼等の前を一人で歩いている。
先程から彼の声とヒールの音がシンクロしていた。
「素直に謝ったら?」
「なんで?俺、なにもしてねーぞ?」
後ろでヒソヒソと話しているようだが丸聞こえだ。
それにしても、
"なにもしてない"
て、ムカつく!!
人が傷付く事平気で言っといてなにもしてないって、よくもそんなことが言えるものだ。
もう、無神経通り越して無自覚なのか?
それなら尚更タチがわるい。
「………モデルみたいに足が長くなくてすいませんでしたねッ!!」
思わず振り替えって叫んだ。
ジロジロと周りの人の視線を感じる。
勇人君があたしと誠也君を交互に見ていた。
「あ…昨日の……いや、そうじゃなくて。」
彼が頭を掻いた。
「何よ?」
彼を睨み付ける。
「どんなお前でも、俺は変わらずお前が好きだってこと……だったんだけど……。」
目を反らして恥ずかしそうに言った。
それを聞いて一気に頬が熱くなる。
それならそうと早くいってほしい。
本当に彼は不器用なんだから。
怒っていたあたしがバカみたいだ。
俯いて頬の熱を見られないように隠した。
「あほくさ…やっぱりくだらねェ。」
勇人君はそう呟くと歩きだした。
「桜。」
「……何?」
「…行こ。」
顔を上げると、彼が手を出していた。
「うん。」
あたしはそっとその上に手を置いた。