第48章 神影
――意味わかんねぇ…。
ベッドにふて寝する彼女を背に、テーブルに頬杖をつきながらテレビを見ている。
つまんねぇ。
テレビも、彼女に相手にされないことも。
大体この時間は、天気が悪くない限り族の集会がある。
が、爆鬼との争いの件で負傷した奴が多かったため中止だ。
――というか、こんな面で表歩けっかよ。
チャンネルを変える。
"あたし…どっちも選べない。だって――両方好きだからッ!!"
"それでもいい!!俺と一緒にいてくれ!!"
テレビの中で女と男が叫びあっている。
土曜の夜というのはいい番組がないのか?
なんだこの変なドラマは。
不快だ。
洋画でもやっていればいいのだが、生憎、それは日曜日だ。
しゃあねぇ、DVDでも見るか。
レコーダーにDVDをセットする。
ボタンを押すと映像が流れ始める。
日本のドラマの"○○ジマ君"だ。
このドラマは結構好きだ。
「兄貴、なん見よん?」
お風呂に入っていた勇人が上がってきた。
「○○ジマ。」
チラリと勇人に目を向けると再び画面に目を向ける。
「ふーん、あれ?姉貴もう寝たん?」
「あぁ。」
「また、喧嘩したんだろ。まぁ、兄貴が姉御を怒らせたんだろうけどね。」
勇人も俺の向かいに胡座をかいて座ると画面に目を向けた。
ギクッ―――
鋭い。
つか、こいつ最近何気に俺達の事分かってんな。
チラリと勇人を見た。
「あんたら分かりやすすぎ。そして、毎回くだらなさすぎ。お互い好き同士なんだから仲良くしたら?」
勇人がテレビを見て笑った。
「……いや。」
ベットで寝てる桜が呟いた。
そして、聞こえてくる寝息。
寝言だ。
なんという絶妙なタイミングだろうか。
思わず苦笑した。