第48章 神影
「江田さんのご趣味は何ですか?」
彼女が笑顔で尋ねた。
「まぁ…酒と…喧嘩だな。」
煙を吐き出しながら江田が答えた。
「まぁ、そうなんですか。」
にこにことレイカは笑っている。
「あぁ。まぁ、たまに料理作ったりもするけどな。」
「え?料理出来るんですか?すごい!!どんなの作るんですか?」
「炒飯とか、色々。」
「すごい!!今度食べてみたいです!!」
彼女は笑顔を崩さず、彼の話を喜怒哀楽を交えながら聞いていた。
いつの間にか、彼の機嫌も良くなっていた。
それを見て、部下たちはホッと胸を撫で下ろす。
―――これで、なんとかいい形で変えれそうだ。
「レイカです。今後もご指名よろしくお願いします。」
最後に、彼女は江田にピンク色の名刺を渡した。
綺麗なデザインのなされた名刺だ。
「あぁ。」
彼はそれを受け取ると、懐にしまって席を立った。
「わかがし。」
後に続いて部下が席を立つ。
「また、来てくださいね。」
出口でレイカが頭を下げた。
しかし、江田はなにも言わずに店を出ていった。
「…………。」
それを見つめていたレイカの眉間にシワがよる。
「二度と来るな。」
誰かが呟いた。