第48章 神影
「江田様すみません!!うちの者がご迷惑を――」
騒ぎを聞き付けたこの店のオーナーが慌てて駆けつけた。
現状を見て、彼が声にならない悲鳴をあげている。
「あ?」
鋭い目付きで江田がオーナーを睨み付けた。
――このまま彼の機嫌を損ない続ければ、店を壊されかねない。
「この店で最高のドンペリとナンバーワンのレイカをつけさせますのでどうか今日の所は……」
そう思ったオーナーは慌てて彼に提案をした。
「分かった……しゃーないのぉ。」
ボーイの手の上から彼の革靴が退いた。
オーナーは他のボーイを呼び慌てて片付けさせると深く頭を下げて裏へ逃げるように消えていった。
「レイカです、よろしくお願いします。」
暫くすると、美しい化粧のなされた髪の長い女がやって来た。
綺麗な黒髪と赤の綺麗な着物のようなドレスが彼女の美しさを引き立てている。
「まぁ、なかなかの女だな。こっち来い。」
江田は舐め回すように彼女を見ると手招きした。
「はい。」
レイカは江田の隣にゆっくりと腰掛ける。
「お酒お作りしましょうか?」
彼女は彼に怯えていないのか、屈強の笑顔で尋ねた。
「あぁ。」
江田はそう答えると懐から煙草を取り出しくわえた。
「どうぞ。」
レイカは丁寧に手を添えて煙草に火を着けた。
その姿に周りの者は驚いていた。
さすが、ナンバーワンだと。
そして、お酒を作ると丁寧に彼の前に置いた。