第48章 神影
「あぁ。小さい芽は早い内に摘まないと大変なことになる。」
「まぁ、そうだな。」
「西條会の存続を危ぶむかもしれん。………藤堂、引き続き頼む。」
宗次郎が頭を下げた。
「あたま、さげんといてーな。アンタに下げられると断れんわ……"紅の狂犬"。」
ニヤリと藤堂が笑った。
「やめろ、昔の渾名(あだな)だ。」
「ホント、すごかったな……もう牙は抜けてしもうたか?」
「さぁ、どうだろうな。」
そう言うと、宗次郎は立ち上がった。
「もう帰るんか?」
「あぁ。」
「そっか、帰り道は気を付けないかんよ?」
「わかってる。」
そう返事すると部屋の扉を開けて部屋を出た。
「ホント、面白い人やな……なぁ、ヘレン。」
藤堂は立ち上がると大きな窓ガラスへ近寄った。
ネオンや灯りで光輝く町が一望できる。
「そう簡単に牙は抜けんかいな……ワイも。」
そっと窓に手を触れた。