第48章 神影
PM7:16
雑居タワービル最上階。
「とんでもない事が分かった。」
黒光りする椅子に座る小柄な男、藤堂が呟いた。
ここは、情報屋"神影(みかげ)"のアジト。
表向きの看板は探偵屋。
裏では沢山の情報を小さな手で握っている。
見た目は小学生…いや、小さな男。裏では数々の情報を握る業界には無くてはならない重要人物。
しかし、その事を知るのはごくわずかの裏の人間のみ。
表向きの顔ならば結構有名人なのだが。
「本当か?」
「あぁ。」
ソファーに座りヘレンが置いたコーヒを飲む宗次郎に、藤堂が頷いた。
「といっても、まだ詳しいことが分からないが―――ヘレン。」
「はい。」
ファイルから、写真をいくつか取り出した。
「写真を見てくれ。俺の部下と、その周辺のホームレスからの情報なんだが、豪龍会は西條会の誰かと密通しているらしい。」
席を立った藤堂が宗次郎の向かいに座る。
「なんだと?」
宗次郎の眉間にシワがよる。
確かに、その写真に写っている車は西條会の車だ。
それに相手は豪龍会の幹部の人間だ。
「まぁ、まだ誰かは分からないが…どうする?まだ続けるか?」
「あぁ。」
藤堂の問いに頷く。
「裏切り者が出たとしても?」
ジロリと鋭い目付きで藤堂は宗次郎を見た。