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レッテル 1

第48章 神影




辰川にやられた傷が痛々しく感じる。
目蓋や、頬や、唇の腫れがだいぶひいたが、まだ腫れている。
絆創膏や湿布が貼ってあって、なんだか胸が痛んだ。

―――あたしのせいだ。

例え寝惚けていたとしても、あたしが悪いんだ。
辰川(あいつ)に場所なんか教えなけれぱ、彼や勇人君が怪我なんかしなかったのに…。

俯いて唇を噛んだ。

なんだか、悔しい。
なにも出来ないくせに、彼等に迷惑ばかりかけて。
あたしって、本当は足手まといなんじゃないかな……。

「あのさ…。」

テレビを見ている誠也君が口を開いた。

「…もし、気にしてんなら……お前のせいじゃないからな。」

「え…何が?」

「夜中の事。」

顔を上げると、彼と目があった。
真剣な表情であたしを見ている。
トクトクと心臓が波打つ。

どうして彼は、いつもあたしが思っていることが分かるのだろうか。

「……。」

ジッと彼の顔を見た。

「あとさ……さっきのは―――」

彼が顔を反らした。
気まずそうに頭を掻いている。

「なんつーか……。」

「…もういいよ、怒ってないよ。」

ニッコリと笑う。

「……あ…あぁ、……わりぃ。」

彼は一瞬目を此方に向けると恥ずかしそうに顔を反らした。

「どうしたん、兄貴。」

勇人君が不思議そうに見ている。

「な…なんでもねーよ。」

無愛想に彼が答えた。




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