• テキストサイズ

レッテル 1

第48章 神影




――誠也君があんな人だと思わなかった。

ダイニングのテーブルについて入れたてのコーヒーを喉に流す。

小学生に卑猥な事を教えてどういうつもりだろうか。

カップに入ったコーヒーから上がる湯気のように、あたしの頭からも怒りで湯気が上がってしまいそうだ。

「どうしたん、姉御。」

二階から降りてきた勇人君が、冷蔵庫から牛乳を取り出してコップに注いでいる。
最近、彼は良く牛乳を飲む。
大きくなるためらしい。

「……ちょっとね。」

言葉を濁す。

「もしかして、兄貴の事?」

ドキッ―――

鋭い。

ソファーに座ってテレビをつけた勇人君が呟く。
あたしは焦りで胸を高鳴らせた。

「なんで?」

「ベッドに顔埋めて動かねーから。あーいう時の兄貴は絶対姉御となんかあった時なんだよね。」

子供というのはどうしてこうも良く見ているのだろうか。
いや、あたしもまだ子供だけど―――

コーヒーを啜る。

スタ…スタ…スタスタスタ――

すると廊下の方から物音がした。
泥棒のような足音をたてながら何かが廊下を歩いている。

きっと彼だ。

そして、影がチラチラとドアのガラス窓から部屋を覗いていた。
まるで、某アニメの再現ででる犯人のようだ。
思わず笑ってしまった。



/ 1026ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp