第5章 出逢い
「落ち着いた?」
あたしはコクリと頷いた。
「せっかくの可愛い顔が台無しだね。」
先輩がハンカチで涙を拭ってくれた。
「…せ…んぱい。」
あたしは先輩を見上げた。
あたしよりも高い背。
秋本先輩も高かったな。
だめだ。
あたし、目の前に望月先輩がいるのに秋本先輩の事ばかり考えてる。
「そんな顔しないで…我慢出来なくなる。」
「…え?」
「なんでもない。…さぁ、行こうか。」
先輩は笑った。
「こんな場所あったんだ…。」
先輩について行くと、体育館の地下部屋に連れて来られた。
「うん。誰も使ってない部屋でね、もったいないと思って先生に頼んだんだ。」
「へぇ。」
「それにここなら何をしても誰も来ないしね。」
そう言って先輩はドアを開けた。
「え?それどういう…―――。」
「朝日ちゃーん、いらっしゃーい。」
あたしの声は男の声に遮られた。