第5章 出逢い
「朝日さん……どうしたのその顔?」
「へ?」
放課後。
教室に誰もいなくなった頃望月先輩が教室に迎えに来てくれた。
「額に跡ついてる。……寝てた?」
先輩の指があたしの額に触れた。
そしてあたしの髪を撫でた。
"物足りない"
あたしはそう感じた。
やっぱりかきみだされるのが好き。
Mじゃないけど。
秋本先輩にかきみだされたい。
逢いたいな…。
先輩の顔が浮かんだ。
じんわり目に涙がたまる。
「ど…どうしたの?具合でも悪い?」
望月先輩の問いに首を横に振った。
「おいで…。」
先輩は手を広げた。
その瞬間、糸が切れたように涙が溢れてきた。
そして、誘い込まれるように先輩の胸に顔を埋めた。
「大丈夫だよ…。」
先輩は優しく背中を撫でてくれた。