第46章 守りたいという名の勇気
ヴォンヴォンヴォン――――
国道を抜け隣町に入った頃、後ろから無数のバイク音が聞こえてきた。
「兄貴!!後ろに族がッ!!」
勇人が振り向き叫んだ。
スピードを緩めて振り向く。
ライトの光が眩しく光っている。
敵か?
奴等の仲間か?
ここからでは分からない。
「せいやァァアア!!」
すると、聞き覚えのある声がした。
「総長!!」
いくつも。
「お前等ッ!!」
光の正体は仲間だった。
ホッと安堵の溜め息を吐く。
仮に、敵だとしたら勇人を守りながら先に進むのは困難だったに違いない。
「なんで、お前等がここに?」
バイクを止めて尋ねる。
「爆鬼の兵隊達にアジトを聞き出したんだ。」
バイクを止めた拓が言った。
「すんなり教えて教えてくれたぜ?」
「うそつけ。お前脅してただろーが。」
「まぁ、(ピー(自主規制))ぶち切るゾって言ってたな。」
翔の言葉をハルとタケが否定する。
アイツらしいといえばアイツらしい。
「つぅか、お前等よく無事だったな。」
兵隊達を見た。
「俺等は身体の造りが違うんッスよ、アイツ等道具しか使わねぇし。やっぱ、男はステゴロやないと―――」
嶋中が血塗れの拳を握った。
「てか、なんで誠也ちゃんここにおるん?」
首を傾げながら翔が言った。
「それが――」
「俺が…守れなかったから、姉御が連れていかれたんだッ!!」
俺の言葉を遮るように、勇人が叫んだ。
「どういうことだよ。」
真剣な表情で皆が勇人を見る。
「実は―――」
勇人が片手で額を押さえた。