第46章 守りたいという名の勇気
ゴオォォオオ――
「姉御…大丈夫かな…。」
国道を飛ばしている途中、俺に掴まっている勇人がポツリと呟いた。
「……大丈夫だ、心配すんな。」
そんな保証はどこにもない。
だけど、そう思いたかった。
―――どうか無事でいて欲しい。
切実にそう願う。
「俺のせいだ…俺のせいで姉御が――」
勇人の声が震えている。
「泣くな。泣いたら桜が心配すんだろ?助けたいなら泣くな。男だろうが。」
振り向かずに言った。
勇人の気持ちが分からない訳ではない。
けれど、勇人が泣けばきっと彼女は心配する。
あいつは、そういう奴だから。
優しいから――
「うん。俺…姉御取り返す!!」
ギュッと、腰を掴む手に力が入った。
「おぅ、その調子だ。よし、飛ばすぞ?」
「わかった。」
ヴォンッヴォオオン――――
メーターが更に上がった。