第46章 守りたいという名の勇気
「ねぇ、笑って?」
「………。」
「ねぇ?」
「………。」
「んぅー、どうしたものかニャ。」
先程から、顔の目の前で辰川が笑っている。
あたしはムスッと頬を膨らましながら顔を反らしている。
腕には縄を巻かれていて、椅子に座らされた。
辺りには色々なゲーム機があって、ここはゲームセンターのようだ。
それも古い。
いろいろな若者(不良)達が、ゲームを楽しんでいる。
「…普通、無理矢理連れてこられて笑う奴いねぇだろ。」
晴山という人が頭を掻いた。
「ヤダヤダヤダ!!笑わせるのッ!!」
辰川が子供のように言った。
「マッツゥ―――。」
振り向いて手招きする。
「何?」
オレンジ色の髪をツーブロックパーマにしてサングラスをかけた男が辰川に近寄る。
名前は"松田 真弥(まつだ しんや)"。
爆鬼の幹部の一人だ。
「笑わせて。」
「はぁ?」
松田が間抜けな声を出した。
「お願い、チューしてやるから。」
辰川がタコの口真似をした。
「…絶対に嫌。」
彼から顔を反らす。