第46章 守りたいという名の勇気
ヴォンッ――ヴォオン―――
ゴオォォオオ―――
道という道を飛ばして走る。
メーターはもう振り切っている。
早く早く早く――
頭の中でずっとこだまする。
信号なんてどうでもいい。
早く帰らないと彼女の身になにがあるか分からない。
キィィィイイ―――
吉光の住宅街まで来た。
曲がり角を地面を擦りながら曲がる。
何度も。
そして、やっと家が見えてきた。
徐々に近付く家。
外灯に照らされて何かがある。
――人だ。
それに、あれは――
「勇人ッ!!」
バイクを飛び降りて勇人に近寄る。
抱き抱えれば、血塗れで汚れた勇人が泣いていた。
「ご…めん…兄貴―――守れなかった。」
小さく掠れる声で呟く。
「姉貴が…女顔の奴等に――」
悔しそうに勇人が拳を握った。