第45章 忍び寄る魔の手
「んぅ…姉御何してるん?つか、なんで俺クローゼットで……って誰?そいつ等。」
目を擦りながら勇人君が階段をゆっくりと降りてきた。
ますます最悪な状況だ。
「……ガキもいたか。俺、ガキ嫌いなんだよね。だって――」
辰川が振り向いた。
「うるさいじゃん。」
「はぁ?誰あんた。つか、ガキ扱いすんじゃねェ!!」
階段を降り終えた勇人君が哮った。
眉間に大量のシワを刻んでいる。
まるで、大好きな彼のようだ。
最近、本当に似てきている。
仕草も、雰囲気も。
自分達の子供のようで――
いや、今はそれどころではない。
「その子は関係ないでしょ!?行くんならさっさと行けばいいじゃないッ!!」
出来るだけ彼らの気を自分に引くために叫んだ。
自分はどうなってもいい。
例え自分がどうなっても、あの子を守りたい。
「まぁ、それもそうだな。いくぞ、ヒロ。」
あたしを抱えている男が玄関を出ようとした。