第45章 忍び寄る魔の手
「なにィ?誘ってるの?」
辰川が首を傾げた。
あの笑顔がムカつく。
女顔もしゃべり方もムカつく。
「気持ち悪いッ!!」
あたしは叫んだ。
「んふッ、そっかァ………殺されたい?」
辰川の目がギラリと光った。
雰囲気が一気に変わる。
いつもと違う危険なオーラを放っている。
人を殺してしまいそうな―――
あたしは、ゴクリと息を飲んだ。
「可愛い顔に傷付けたくないっしょ?」
「………。」
コクリと頷く。
「じゃあ、大人しくしてな。」
あたしの担いだ男がドアに手をかけた時、彼が不気味に笑った。
でも目は笑っていない。
獲物を見つけた猛獣の目だ。
「また始まった…。」
担いでいる男が呟いた。