第45章 忍び寄る魔の手
「ヒロ君、またまたまたショックゥ。」
それよりも、隣に行かれては困る。
ダンッ――――
思わず頭を上げてしまった。
痛っ―――
頭を押さえる。
「今、何か音しなかったか?」
足音が戻ってくる。
「わかんニャい。」
スーツケースに飽きた辰川が頭を掻いた。
「気のせい―――」
ブーブー
男が再び部屋を出ようとした瞬間、あたしの携帯が鳴り始めた。
画面には、誠也君の名前が。
慌ててボタンを押した。
「さっきの電話、どうした?」
彼の声が携帯から聞こえてくる。
「みぃつけたァ。」
その瞬間、魔の手が襲ってきた。
「きゃあぁぁぁああ!!」
あたしは叫んだ。