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レッテル 1

第45章 忍び寄る魔の手




"―――すごい?"

外から微かに声が聞こえてきた。
彼が帰ってきたのか。
それとも――

恐怖で身体を震わしながらも、窓に近付きそっと開けてみる。

「……っ――。」

思わず声が出そうになった。
慌てて口を押さえる。
暗くてよく見えないが、影が二つ動いている。

――きっと、彼じゃない。

あたしは、窓を閉め鍵をかけた。

このままじゃ、いつ家に入られるか分からない。

「勇人君、起きて!!」

急いで、ベッドに寝てる勇人君を起こす。

「うーん、後…5分……。」

しかし、起きない。
仕方なく、重たい彼を抱えると携帯を手に持った。

「……重い――。」

あたしも、日頃運動するべきだった。

そう後悔しながらも歩みを進める。
隣の部屋へ。
部屋を出て、隣の部屋を開ける。

誰の部屋?

初めて入ったけど、彼とは違う白の特攻服が掛けてある。
それにドクロの旗とか龍の旗とか、正に男の部屋だ。

いや、今はそれどころではない。

部屋にあるクローゼットに勇人君を隠した。
もし、万が一あたしが見つかっても彼に魔の手が及ばないようにするためだ。

―――この子だけは守らなくては。

母親というのはこういうものだろうか。
なんだか、胸が熱くなった。



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