第45章 忍び寄る魔の手
「で、どうすんだよ?」
上から見下ろす。
「簡単だよーん。」
シュ――
ダンダンダン――
シュ――
ダンッ―――
「ほらぁ、ノブも早くおいでー。」
二階のベランダで辰川が手を振っている。
彼は塀をつたって倉庫の屋根に乗り、アクロバティックにベランダへ入ったのだ。
「忍者かお前は!!無理に決まってんだろうが!!」
「しょうがないなぁ。」
シュ――
ダンダンダン―――
シュ――
ダンッ――
また、彼が倉庫に飛び移り、塀をつたって降りてきた。
「だから、お前は忍者か!!」
「ヒロ君丸でござる。」
辰川がポーズを決めた。
「で、どうすんだよ?」
またまた、華麗にスルー。
「ヒロ君ショック。」
また、辰川が踞った。
「だから、どうすんだ?」
「簡単だよー。タララタッタター"ヘアピン"(○○エモン風)」
辰川がポケットからヘアピンを二本取り出した。
「で、どうすんだよ?」
「これを伸ばして――」
カチャカチャ――カチャリ――
「開いたよん。」
ドアの前でニッコリと辰川が笑った。
「……お前はなんでもできるんだな。」
そんな彼を、晴山は恐ろしく感じた。