第5章 出逢い
「………あれ?」
目を覚ますと教室はオレンジ色に染まっていた。
いつの間にか眠っていたらしい。
時計の針は5時を指していた。
「あれ?先輩は?」
辺りを見渡すが誰もいない。
それに鞄もない。
帰ったのか…。
そう思ったあたしは鞄を手に教室を出た。
この時あたしは落書きの事をすっかり忘れていた。
翌日。
終業式の為、全校生徒が体育館に集められた。
キョロキョロと周りを見渡してみるが赤い髪はいなかった。
3年生の目立ったグループにも彼はいない。
「さくちん、どうしたん?」
キョロキョロするあたしを不思議に思ったのか後ろの友達が聞いてきた。
「え?う…ううん、なにもないよ。」
あたしは笑ってごまかした。
そもそも、あの先輩がこんなところ来るわけがない。
でももしかしたらあたし…避けられてるのかな?
あたしは辛くなって蹲った。
嫌いな校長の長い話も生徒会の話も何もかも耳に入らない。
みんな早く終われ。