第44章 爆鬼
Am0:13
ブーブー
「ん……。」
薄暗い部屋の中で携帯が鳴り始めた。
ベッドで眠る彼女を起こさないように急いで携帯を手に取る。
「……んだよ、こんな時間に――」
「そ…総長…爆……裏道……―――」
ドサッ――
電話に出ると消え入りそうな男の声が。
携帯画面を確認すると、兵隊の名前が。
「おい!!どうした!!」
何度呼び掛けても聞こえてくるのはバイクの排気音が遠退いて行く音だけ。
誠也は立ち上がると、明かりをつけた。
そして、急いで特攻服に着替える。
ただ事じゃない。
彼はそう感じていた。
ブーブー
再び携帯が鳴り始めた。
拓だ。
急いで携帯を取る。
「どうした!?」
『兵隊達が殺られてる!!爆鬼に――クソッ』
無数のバイクの排気音が聞こえてきた。
「裏通りだ――翔達も――」
ブチッ――
電話はそこで切れた。
プープーという機械音が聞こえてくる。
彼女と隼人を家に置いとくのは心配だ。
後ろ髪を引かれるような思いで彼は家を飛び出した。