第44章 爆鬼
「まだ、アッキー出てこないわけ?つまんなーい。」
バイクに跨がる辰川がボキボキと腕を鳴らした。
黒の特攻服を身に纏っている。
彼は今、桜達が住む町にいる。
隣には、爆鬼の副総長の晴山が。
「そう簡単に総長が出てこねぇだろうよ。」
煙草の煙を吐き出しながら晴山が言った。
「ぶぅ―、あっそうだ!!アッキーの家にいっちゃおう!!名案、名案っしょ?」
「家しってんのかよ?」
「……しらなーい。ねぇ、教えてくれる?」
地面に倒れる紫の特攻服を着た男に呼び掛ける。
「お…教えねぇ…。」
消え入りそうな声で男が呟いた。
「えー、なんで?」
「姉御が…―――」
男はそこまで言うと意識を手放した。
「姉御?姉御って誰?」
辰川が晴山の顔を見る。
「さぁ?秋本の女じゃねぇか?」
煙草を揉み消しながら晴山が言った。
「へぇ………。」
ニタァと辰川が笑った。
携帯を取りだし電話をかける。
「もっしー、俺だよ………桜。」
辰川が不気味に笑った。