第43章 女顔の男
改札口を出ると、誠也君は考え込むように黙っていた。
そんな彼に話しかけることが出来ず、ただ黙々と隣を歩いている。
彼が、何を考えているかは分からない。
だけど、辰川って人が関係していることだけはわかる。
初めは、彼がいい人かなって思った。
けれど、常に笑っていて、なんだかそれが不気味に思える。
何を考えているか全く読めない。
「あのさ…。」
黙っていた彼が口を開いた。
「朝も、帰りも、家でも、…俺から絶対に離れんじゃねぇぞ。」
「え?なん――」
「いいから、離れんな!!」
彼が叫んだ。
道行く人が彼を見ている。
「うっ…うん、分かった。」
あたしは、小さく答えた。
彼の言葉が何を意味するかは分からない。
けど、良くない気がした。