第43章 女顔の男
「あぁ、俺だけど。」
二人が電車を降りた後、辰川は携帯を取りだし電話した。
「まぁ、暇潰しにはなりそうだし、昨日の話オーケーしてもいいよ。」
クスリと笑い金色の髪を指先で弄る。
「そんかわり、十万ね。」
足をブラブラと揺らしだした。
前に立っている人がそこを避ける。
「は?お前の身体で?…マジ、そういう冗談やめてくれる?……殺すよ?」
低く言った。
ニコニコと笑っているが目は笑っていない。
「わかったかニャ?じゃあ、そういう事だから十万よろしくね。」
そう言うと、辰川は電話をきった。
「十万入って、暇潰し出来て、女ヤれるとか一石三鳥だなぁ。」
子供みたいに身体を揺らしている。
そんな彼を、周りの男達はチラチラと見ていた。
好意のある目で。
「おい、姉ちゃん。俺等と一緒に遊ばねぇ?」
チャラチャラとした身なりの男達が彼を囲んだ。
「えー、俺?」
「そうそう。」
「んー、いいけど…いくらくれんの?」
「は?」
「金だよ。いくらくれんの?」
辰川が指で円を作っている。