第42章 チビと発熱にはご用心
PM7:00
チラリと時計に目を向ける。
気付けば、半日近く本を読んでいた。
読みかけの本に栞を挟むと、宗次郎は本を閉じた。
本の表紙には、『心の闇の間』と書かれていた。
しかも、英語の本だ。
こうやって、彼は日々勉強している。
彼は本棚に本を納すと眉間に指を当てた。
本を読んでいたせいか、目が痛む。
眉間を軽く解すと立ち上がった。
風呂でも入ろう。
タンスから下着と寝る時用の着物を取り出すと脱衣徐に向かった。
彼は家にいる時はだいたい着物だ。
昔は、若者が着るような服を好んで着ていたが、最近は着物かスーツが多い。
他に服はあるが、着物やスーツの方が勝手がいい。
綺麗な日本庭園に沿う長い廊下を歩きながら、空に浮かぶ月を見ていた。
綺麗な半月型の月が雲の間から顔を出している。
今宵は冷える。
着物の間から露出する肌に、11月の風が突き刺した。