第42章 チビと発熱にはご用心
「兄貴、勇人様が帰ったぞ。」
玄関が開く音がしたかと思うと勇人の声がした。
「あれ?姉御は?」
台所でキョロキョロしながら勇人が言った。
いつもなら彼女がいるから当たり前か。
「熱だして二階で寝てる。」
暴れる鍋の蓋を開けて、お玉で中をかき混ぜながら言った。
今夜はカレーだ。
理由は簡単だから。
「そっか、姉御って身体弱いのかな。」
そう言って、勇人はランドセルを放るとソファーに座ってテレビを付けた。
「そういや、そうだな。」
よく倒れるし、この前も外国人グループのアジトで風邪を引いていた。
そう思うと、ますます彼女を大切にしようと思った。
ドンッ――
そんな時、天井から物凄い音がした。
この上は自分の部屋だ。
慌てて二階へ上がる。