第42章 チビと発熱にはご用心
「わかがし、いいんですか?…その、子供に――。」
近くにいた護衛が耳打ちする。
「奴を見くびるな。」
冷めたコーヒーを口に運ぶ。
「なんでアイツが裏の世界で生きていけると思うかわかるか?」
「いっ…いえ。」
宗次郎の言葉に護衛は首を横に振った。
「……奴が、それだけの知識と力を持っているからだ。見た目だけで判断するな。考えて相手を見極めろ。」
そう言って、カップをソーサーに置いた。
「でないとこの世界は生きていけない。」
そして、立ち上がる。
「わかがし?」
「部屋で本を読む。お前達は休んでていいぞ。」
「はい。」
トンッ――
優しく扉を閉めた。