第42章 チビと発熱にはご用心
「お前も知ってたか。」
宗次郎が煙を吐き出す。
「当たり前や。ワイはこの辺りいや、この町周辺のことなら何でもしってる。そうやないと、この商売出来んからな。」
煙草に火をつける。
「けど、高くつくよ?この仕事。」
煙の上がる煙草を手に宗次郎を見る。
「構わん。初めからわかっていた。」
「なら、決まり。ヘレン、準備頼む。」
「はい。」
「じゃあ、帰るな。行くぞ。」
そう言って藤堂が立ち上がる。
ヘレンも立ち上がったが、二人には随分と差があった。
身長に。
宗次郎はチラリと目を向けると煙草の火を灰皿で揉み消した。
二人の身長には触れない。
それはタブーだ。
だって、まるで母と子の様だから。