第42章 チビと発熱にはご用心
「岩中組のわかがしがワイに頼むなんて珍しいな。」
岩中宅の応接間のソファーに座っている小柄な男が言った。
「まぁ、色々あってな。」
向かいに座る宗次郎が煙草に火を着けた。
今日は董次郎は用事でいない。
彼はそれを狙って、男を呼びだしたのだ。
男の名前は藤堂 隆清(とうどう たかきよ)。
裏の情報屋だ。
黒に赤いメッシュを入れた髪の襟足を結んでいる。
それに赤のパーカーに黒の半ズボンとまるで子供だ。
顔も幼い。
今日は相棒の渡瀬 ヘレン(わたせ ヘレン)を連れている。
どうやらハーフのブロンドヘアーの女性で、スタイルがいい。
黒いストライプのスーツのズボンが密着している。
と、まあそんなことは宗次郎は興味ない。
それよりも――
「お前に豪龍会の動きを探ってほしい。」
「それは構わんけど何でなん?…て、聞くまでもないか。豪龍会がアンタのタマ狙ってるんやからな。」
そう言って藤堂は煙草を取り出した。
「タカ煙草は…。」
「ワイはもう25や!?いいやん別に!!」
「そうでしたね。」
ヘレンはチラリと藤堂を見ると手帳に目を向けた。