第5章 出逢い
その日からあたしと秋本先輩が会うことはなかった。
毎日屋上に行ってもそこには先輩の姿はない。
あたしはそこで煙草を吸った。
先輩と同じ銘柄。
同じ匂い。
「……コホッ…コホッ…。」
馴れない煙草に咳き込む。
先輩、いつもこんなきついの吸ってるんだ。
なんだか寂しくなった。
あたしは、望月先輩が好き。
好きなはず。
だってずっと憧れだったのだから。
だから今幸せなんだ。
でも何でだろう。
サッカーの練習を見つめていても。
望月先輩と一緒に帰っていても。
隣で笑っていても。
どうしてこんなに満たされないの。
今、あたし幸せじゃない。
先輩に会いたい。