第41章 放たれる銃弾
「何があったかは聞かねぇよ。面倒臭いから。」
先生はファイルを手に持って言った。
オイオイオイ、先生がそんなんでいいの?
頭を拭きながら先生を見る。
「まぁ、若い時は色々あるだろうよ。」
机の上で何かを書きはじめた。
「でも、それを乗り越えないとずっと今のままかわんねぇよ。大人になっても。」
黙々と先生は書き続けている。
あたしはその背中を見つめた。
あのゴリラ達はムカつくけど、やり返してもきりがない。
大人になろう。
タオルで顔を隠した。
ガラガラガラ―――
「桜ちゃん、ホラ。」
何処かへ行っていた先輩が戻ってきた。
あたしに向かって何かを投げた。
「あっ…。」
あたしの体操服だ。
わざわざ取りに行ってくれたのか。
あたしはそれを受けとる。
「それ着たら?」
無邪気に先輩が笑っている。
「ありがとうございます。」
あたしも笑った。
「あ…コレ。」
あたしはパーカーを脱ぐと先輩に渡した。
「濡れてしまったけど――」
「いいって、いいって。」
未だに笑っている。
そして、ジッとあたしを見ている。
「お前は教室戻れ。」
先輩が振り向かずに言った。
「えー、やだ。」
先輩がベットに飛び込んだ。