第41章 放たれる銃弾
「誰だ、そいつ?」
振り向くと、大量のシワを額に刻んだ誠也君が此方を見ていた。
思わず顔を反らせば、不機嫌そうな松崎君の顔が目に入る。
更に反らせば爽やかに笑う佐々木君が。
「やっぱり春馬に手出してる!!」
ゴリラまで来た。
「帰るぞ。」
誠也君があたしの手を強く引いた。
「何で手繋いでんの、お前等。」
ジッと松崎君が佐々木君の手を睨んでいる。
「番号教えて。」
佐々木君も引っ張る。
「離れなさいよ!!」
ゴリラも引っ張る。
四方八方囲まれている。
イライライラ……ブチッ
あたしの中で何かが切れた。
「あー、もうっ!!鬱陶しい!!」
思わず叫んでしまった。
みんな驚いてこちらを見ている。
「帰る!!」
彼等の腕を振り払うと、はや歩きで廊下を歩いた。
長い髪がサラサラ揺れる。
「桜。」
誠也君が追っかけてきた。
「何!?」
不機嫌さを思いっきり表した顔で見た。
「…いや、何も。」
彼は何か言いたそうだったが、口を閉じた。
黙って横を歩く。
「……。」
あたしは、そんな彼を見ると彼の手を握った。
「……。」
彼は驚いた顔であたしを見ると、優しく握り返した。
なんだか可笑しくなって思わず笑ってしまった。