第40章 回収野郎
結局、坂下は見つからなかった。
しょうがなく、一度事務所へ戻る。
「どないしたんですか!?」
事務所の入り口で何台も車が止まっていた。
慌てて近くにいた兄貴分の男に駆け寄る。
「坂下の奴がやりおったんや。」
低く唸るような声で男が呟く。
加藤は嫌な予感がした。
そうでないでほしいと心が叫んでいる。
「組の金盗みやがった…一千万近く。」
その一言で体が崩れていくような感覚に陥った。
もうあいつは――。
胸が苦しくなる。
何で?どうして?
答えが返ってこない思いを問いかける。
絶望が全身に走った。