第40章 回収野郎
「おどりゃあ、さっさと歩かんかィ!!」
「………。」
少しして、事務所からぞろぞろと人が出てきた。
坂下が、組の偉い人達に囲まれている。
「ハル!!」
加藤は叫んだ。
「……。」
しかし、坂下は返事をしない。
それでも、加藤は呼び続けた。
「……ノブ。」
後部座席のドアが開いた車の前で立ち止まった坂下が口を開いた。そして、坂下が振り向いた。
「ごめん。」
彼は震える声で呟くと、一筋の涙を流した。
それから車に乗せられる。
ゆっくりドアが閉まると、車は走り出した。
その日を境に二度と坂下が姿を見せる事はなかった。