第5章 出逢い
「落ち着いた?」
誰もいない保健室で先輩は背中をずっと撫でてくれた。
「すいません…。」
あたしはうつむきながら応えた。
「なんかあったの?朝日さん。」
やさしい笑顔で先輩は言った。
「え…なんであたしの名前?」
先輩を見た。
「だって朝日さん有名だから。」
「有名?」
そういえば秋本先輩も同じこといっていた。
いったいなんで?
「そ。可愛いって。」
そう言って先輩はあたしの髪をさわった。
綺麗な指で。
髪を弄ぶ。
あたしは頬を紅潮させた
先輩の仕草がドキドキする。
「ねぇ朝日さん…。」
先輩が真剣な眼差しであたしを見た。
「はっはい。」
「彼氏いる?」
「いっいいえ。」
「よかった。なら俺と付き合って?」
「え?」
先輩の言葉にあたしは目を丸くした。
「ずっと……好きだったんだ、君の事。」
先輩はあたしを抱き締めた。