第37章 僅かな希望
「……頼みとはなんだ?」
少し広い部屋に案内された。
この男の部屋だろうか。
刀が置いてある。
先程から奴は目を閉じて正座で座っている。
思わず俺達も正座で座ってしまった。
「外国人グループのアジトを教えて欲しいんだ……です。」
翔が身を乗り出した。
「なぜだ?」
「俺の女…いや、桜がそいつ等に誘拐されたん……ました。だから――」
「なんだと?」
宗次郎の眉毛がピクリと動いた。
「あんたなら知ってると思って!!頼む!!教えてくれ!!」
俺は頭を下げた。
「……残念ながら、俺はそいつ等の事は詳しくない。だが、外国人が多く住んでる泥雲街という所を知ってるか?」
「あぁ。」
「そこのグランゼリアという飲み屋に行け。そこのマスターなら何か知っているはずだ。合言葉は"Slight hope(わずかな希望)"だ。それと、」
宗次郎がゆっくりと目を開けた。
「その町で揉め事はおこすな。」
「なんで?」
「…殺されるぞ、一瞬で。」
「……。」
宗次郎の眼光が突き刺さる。
皆がゴクリと息を飲んだ。
「…わかった。ありがとう。」
俺は立ち上がり部屋を出ようとした。
皆も。
「待て。」
「あ?」
「…お前がさっき一発でも組の者に傷付けてたら…お前今日死んでたぞ?」
ジロリとこちらを見た。