第37章 僅かな希望
「おどれ等何しに来たんジャ!!おぅ!?」
大きな和風な屋敷の門の前で見張りが叫んでいる。
俺達はある男に頼み事をしに来た。
あいつに頼むのは癪に障るが今はこれしか方法はない。
「お前等の所の若頭に用があんだよ、ザコは引っ込んでろ。」
ゴキゴキと首を鳴らしながら男を見た。
「カチコミじゃあ!!」
何を思ったのか男が叫んだ。
「なんやて!?」
「ガキがなめくさってからに!!」
奥からどんどん部下が出てくる。
「お前、言い方がわりぃんだよ。」
拓が溜め息を吐いた。
「しらねーよ。……でも、やってやらぁ!!」
拳を鳴らした。
「何事だ?」
大きな玄関から紺の着物に草履を履いた黒髪のオールバックの男が出てきた。
奴がきっと若頭の岩中 宗次郎だ。
「わかがし、カチコミです。お下がりください。」
部下が言ったが宗次郎はどんどんこちらへ進んでくる。
「何か用か?」
俺の前に立つと鋭い目付きで言った。
威圧感が半端ない。
そこら辺のヤクザとは桁違いだ。
「お前に頼みがある。」
俺は奴の目をしっかり見た。
「こんがきゃあ、わかがしになんちゅ――」
「かまわん。」
宗次郎は部下を手で制した。
「しかし、わかがし!!」
「ついてこい。」
奴はそう言うと背を向けて歩き出した。
その後を黙って着いていく。
その間、ヤクザ達の眼光が突き刺さった。