第35章 地獄
「服、俺の大きいかもだけど我慢してネ。下着は…ごめん、君のだけど持ってきたから。」
シャワーを浴びていると、特殊な硝子張りのドアの向こうからジョンの声がした。
「……ありがとう…ございます。」
あたしがそう言うと彼はいいよと言った。
ザァァアア―――
シャワーをおもいっきり強くする。
声を出して泣くのを聞かれないようにするため。
「帰りたいよぉ……会いたいよぉ…誠也君…。」
子供のように泣いた。
今だけ自由になった手で顔を覆う。
でも、浴室を出て服を着ると、また手は不自由になった。