第35章 地獄
ガチャ――
部屋に入るとイアンは鍵を閉めた。
ベットやクローゼットや机やテレビがある洋風な薄暗いただの部屋。
きっと、彼の部屋だ。
「Clean up.(掃除しろ。)」
ベットにドサリと座ると彼は言った。
「は?」
いきなり部屋に連れて来て"掃除しろ"ってなんだか拍子抜けだ。
もっと酷いことされるのかと思った。
「掃除しろって言ったのがわかんねぇのか?」
青い瞳がこちらを向く。
「…じゃあ手錠はずして。」
「what?(何?)」
「Handcuffs outside carries out!!(手錠はずして!!)」
「……Don't make it laugh. Clean up with a tongue.(笑わせんな。舌で掃除しろ。)」
イアンが立ち上がった。
「は?」
ガシッ―――
「舐めて掃除しろって言ってんだ!!」
「痛っ!!」
髪を掴まれた。
激しく揺さぶられる。
無表情で。
それがあたしの恐怖心を煽る。
「Hey, Ian!! Probably, it has not knocked!?(おい、イアン!!殴ってないだろうな!?)」
扉の向こうでジョンが叫んだ。
「It is noisy. It is not carrying out.(うるさいな。してねぇよ。)」
イアンは舌打ちするとあたしの髪を離した。
ドクドクドクとあたしの胸が高なる。
恐怖で。