第4章 彼と彼
あたしは最低だ。
誠也君を好きと言いながら松崎君を拒めないでいる。
松崎君の事なんて大嫌い。
なはずだったのに、
彼があたしを好きと言うたびに、
彼に溺れていく。
本来なら捨てられて当然。
あたしが彼等の立場ならとっくに見捨てているだろう。
でも彼等はあたしを見捨てようとはしない。
むしろ好きだと言ってくれる。
そんな彼等をあたしは利用している。
本当はどっちが好きなの?
無口だけど強くて優しい歳上の彼?
意地悪だけどいっしょにいて楽しい同級生の彼?
燃える炎のような赤。
みんなを照す太陽のようなオレンジ。
土のような茶色はそれらに混じれない。
あたしは混じっちゃダメなんだ。
汚しちゃダメなんだ。
彼等を。