第4章 彼と彼
「やめてっ!!」
屋上に連れてこられ、そのまま地面に押さえつけられた。
「なんで…。」
「え…。」
「なんで、俺じゃなくてあいつなんだよっ!!」
そう言った彼の顔は悲しそうな顔をしていた。
「もし…俺があいつより先にお前に会ってたら、お前は俺の事好きになってくれたか?」
「………。」
「そうじゃなくても、お前が誰と寝ようとも、俺はあきらめねぇ。」
「え……。」
「お前の事本気で好きだ!!」
彼は真剣な眼差しであたしをみていた。
「県内最凶?上等じゃねぇか。奪い取ってやるから覚悟しろ秋本!!」
あたしの上で松崎君はニヤリと笑った。
「朝日ペンかして。」
教室に戻ると、何事もなかったかのように松崎君は話かけてきた。
「うん、はい。」
だからあたしも普通に接した。
「サンキュー。」
松崎君はあたしからペンを受け取るとあたしのノートに何か書いていた
"今度俺んち来る?"
そこにはそう書かれていた。
"なんで?"
あたしはそう返事した。
"いっしょにいてぇから"
彼は顔をあげあたしを見た。
真剣な眼差しに吸い込まれそうになる。
"一回だけなら"
いいよね?
あたしは再び彼を見た。
すると教科書で隠しながらキスされた。
ほんの一瞬だけ。
あたしは頬が熱を持つのを感じた。
"朝日好きだ"
ノートに大きくそう書かれた。