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レッテル 1

第34章 敗北




「Come to a woman and here.(女、こっちに来い。)」

少し幼い顔した白人が見下ろしている。
背は誠也君ぐらいだが、威圧感が半端ない。
ジョンよりも遥かに恐怖を感じる。

「おい、女。」

突然、男が日本語を話した。
しかも、発音が完璧だ。
日本人と間違えるくらい。

「俺は女でも容赦しない。でも、傷はつけられねぇ。」

皮ジャンのポケットから煙草を取り出しくわえ、ジッポーで火を着けた。

「死にたいか、大人しくついてくるか…選べ。」

鋭い眼光があたしに突き刺さる。

今までの誰よりもケタ違いに恐い。
普通じゃないオーラ。

「It does what?(どうする?)」

煙を吐き出した。

やばい。
逃げなきゃ。

あたしはとっさに荷物を持ち走った。

「shit。(くそが)」

「……っ!!」

そう聞こえたかと思うと、誰かが腕を掴んだ。

ドサッ――

ゴロゴロゴロ―――

買い物袋が落ち中身が散らばる。

グシャ――

リンゴが潰れた。
いや、男が足で踏み潰したのだ。
並の力ではない。
恐る恐る振り向く。

「誰が逃げろと言った?」

煙草の煙が吹きかかる。

タラリ――

額から汗がたれた。

「桜ちゃん!!」

藤崎先輩が来た。
上手くジョンから逃げきったらしい。

「A monkey is not caught, either.(猿もつかまえられないのか。)」

男が舌打ちしている。



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