第34章 敗北
「ここに隠れてて!!」
先輩はもうひとつの抜け道まで来ると、大きなごみ捨て場の横にあたしを隠した。
そして、隣に買い物袋を置いた。
「先輩は!?」
「俺はあいつの気を引く。このまま二人で逃げてもいずれ捕まるから。」
そう言うと、先輩は来た道を戻っていった。
一人になると急激に不安が押し寄せてくる。
ドクドクと心臓が暴れだす。
息をするのも苦しい。
もし、先輩が捕まったら――
考えると恐怖で涙が溢れ出てきた。
声を出したらいけない。
口を押さえる。
来た道をずっと見ていた。
「He is whether a child rabbit can also be caught and that fellow.(子うさぎも捕まえられないのかあいつは。)」
すると、後ろから声がした。
低い声色の英語。
ジョンとは違う声。
恐る恐る後ろを振り向く。
「They are quite choice goods.(なかなかの上物だ)」
ブルーの瞳が光った。
ジョンとは違う白い肌。
短髪の無造作なブロンドヘアー。
黒の皮のジャンバーを羽織って下には黒の服を着ている。
そして黒の綿のズボン。
ベルトもピアスも黒。
スニーカーも黒
ネックレスは金だが。
全体的に黒い。
まるで青い目の悪魔のようだ。