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レッテル 1

第34章 敗北



「こっちだ!!」

藤崎先輩はあたしの手を引いて細い道に入った。
ガサガサと邪魔な買い物袋が揺れる。

「ここを抜ければ人混みに入れるはずだ。」

息を切らしながら先輩が言った。
この先には人通りの多い商店街がある。
人混みに紛れれば彼も手出ししないと先輩は考えたのだ。
やっぱり先輩は頭の切れがいい。
こういう状況でも冷静に判断出来ている。
あたしはスゴいと思った。

タッタッタッ――

あと少しで抜け出せる。
あと少しで―――

「It was regrettable. An idea is sweet although it was a good idea.(残念だったな。いい考えだったが考えがあまい。)」

しかし、出口のところで腕を組んで不気味に笑うジョンが立っていた。

「クソッ!!」

先輩がもと来た場所を引き返す。

タッタッタッ――

あたし達の革靴が地面を蹴る音が響く。

ザッ―ザッ―

ジョンのスニーカーの足音が聞こえてくる。
悪魔の音色が背に忍び寄る。

「Is escaping the monkey with the red hips only possible? Japanese people are weak too.(ケツの赤い猿は逃げるしか出来ねぇのか?やはり、日本人は弱いな。)」

クックッと喉を鳴らしている。

「Become silent!! Say also with what!!(だまれ!!なんとでも言え!!)」

先輩は叫ぶと細い道を出た。


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