第34章 敗北
「Are you a couple?」
後ろから声がした。
聞き覚えのある声。
聞き覚えのある言葉。
嫌な予感がする。
ゆっくりと振り向いた。
「………っ!!。」
悪い予感というものはよく当たるものだ。
振り向けば、時期外れの白いタンクトップを中に着て黒のパーカーを羽織りベージュの綿のズボンを履いたジョンが立っていた。
今日は帽子を被っていない。
「Are you a couple?」
もう一度尋ねてくる。
彼の首にかけられた金のネックレスが光る。
「コイツか…。」
藤崎先輩がジョンを睨み付けた。
「カップルかって聞いてんだヨ。」
不機嫌そうに先輩を見ている。
「NO.」
藤崎先輩はゆっくりと応えた。
額に汗が滲んでいる。
「Too. Because it is a young woman of the man who missed last time(やっぱりな。この前取り逃がした男のお嬢さんだから。)」
「It did what?(それがどうした?)」
先輩も英語で返す。
「It catches. A lion does not miss game.(捕まえる。ライオンは獲物を逃がさない。)」
そう言ってジョンの手があたしに伸びてきた。
「Does it carry out!!(させるか!!)」
藤崎先輩はあたしの手を掴み走った。
「Oh, oh, is it tag?(おやおや、また鬼ごっこか?)」
ジョンは不気味に笑った。