第33章 恐怖再来
あたしは、彼等が殴りあうのを見ている事しか出来なかった。
と言っても、だんだん誠也君が押されている。
あの強い彼でも、生まれつき身体の筋肉の質が違う外人には勝てないのだろうか。
「あ…あたし、助け呼んでくる!!」
鞄を片手に走ろうとした。
「It does not send.(いかせないよ)」
けれど、目の前に真っ黒な服が目に入ると。
ゆっくりと上を向いた。
「A lovely young woman.(可愛いお嬢さん。)」
「……っ!!」
声に鳴らない悲鳴を上げる。
向いたそこにはニッコリと笑うジョンがいた。
誠也君は!?
先程彼がいた方を見る。
「誠也君!!」
血だらけの誠也君が苦しそうに倒れていた
地面に血痕が沢山ある。
「Coming.(おいで)」
ジョンが手を伸ばしてくる。
「NO!!Don't come!!(いや!!来ないで!!)」
あたしは英語で叫ぶと手を振り払った。
多少の英語はあたしでもわかる。
「困ったネ。強情なお嬢さんダ。」
ジョンは頬を掻いた。
「桜に……さわ…んな。」
倒れていた彼がゆっくりと立ち上がる。
ポタポタと血が流れている。
真っ赤な髪の毛も垂れていた。
「Oh、意外とタフネ。」
少し驚いたようにジョンは彼を見た。
「But…I do not fail.(だが、俺は失敗しない。)」
ジョンが不気味に笑った