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レッテル 1

第33章 恐怖再来




不審者はあの人じゃなかったの?

放課後。
松崎君の言っていた不審者の事を考えていた。
黒人?ドレッド?髭?
それにかなり強いなんて恐ろしい。
しかも、カップルを狙っているなんて他人事ではない。
あたしも狙われる可能性は充分にある。

「あのさ。」

電車から降りたあたしは、彼と一緒に階段を降りている最中口を開いた。

「ん?」

彼がこちらを見る。

「不審者の事なんだけどさ…」

「また、亜久里とかいう奴か。」

彼が不機嫌そうに言った。

「そうじゃなくて…。」

「じゃあ何?」

「黒人なんだって。」

定期券を通して改札口を出る。

「は?」

「だから黒人の―――」

ドンッ―――

「きゃっ。」

誰かが後ろからぶつかった
振り向く。

「Oh sorry.」

そこには背の高い黒人がいた。
緑のギャップを被って黒の長袖に赤の上着を羽織り、ジーパンを履いている。
あたしは目を見開いた。
長いドレッドの髪を結び、顎には短い髭がある。
鼻と耳と口にピアス。
服で隠しきれないタトゥー。

間違いない。

通り魔だ。

「大丈夫デスカ?」

男がしゃがんで見てくる。
緑の瞳がジッと見つめる。
あたしを。

彼は鼻が高い。
普通でいえば整った顔と言った方がいいだろうか。
でもこんな人が……

「大丈夫?」

ずっと見てくる。

「大丈夫に決まってんだろ。」

彼が不機嫌そうに言った。




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