第4章 彼と彼
「初めて……だったんだよ。誠也君は?」
彼の腕枕の上で身を寄せながら呟いた。
「俺は……。」
「え……?」
「うそ、俺も。」
「ひどーい。」
「さっきの仕返し。」
頬を膨らませると彼は意地悪に笑った。
ブーブー
携帯がなり始めた。
あたしのだ。
それを取るとディスプレイには松崎君の名前が。
あたしはどうしていいかわからずチラリと誠也君を見た。
「おい…ガキ。」
誠也君はそれに気づいたのかあたしの手から携帯を取った。
『はぁ?』
携帯から松崎君の声が聞こえてくる。
「こそこそしねーで堂々と桜を奪ってみろ。けど桜は渡さねぇ。」
『上等だ!!』
松崎君はそう叫ぶと電話をきった。
「誠也君……。」
「桜……もう一回…。」
「うん……。」
あたしが彼に身をゆだねると彼は何度も愛してくれた。