第32章 嫉妬深い彼とズルいあたし
ガチャ―――
部屋に入ると彼が鍵を閉めた。
「――んっ……。」
キスをされる。
深く。
そして、外されていくブラウスのボタン。
脱がされる服。
彼の力によって拒むすべがない。
こういう時の彼は強引だ。
「別れたくない……。」
あたしの胸の前で彼が呟いた。
「お前を離したくねぇ…。」
震える彼の両手があたしの腕に触れた。
「もう大事なもん無くしたくねぇ…だからお前を――」
強く。
「ごめん――」
彼があたしの顔を見た。
悲しそうな顔で。
ズクン―――
胸が痛んだ。
別れたくない――
そんな気持ちが溢れてくる。
やっぱりあたしはこの人が好きだ。
「好き……。」
小さく呟いた